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【会社改革の仕事術 R4 vol.8】1年先をプロデュースする!

「1年先の姿」と「足元の改善」 考え方は、まったく異なる。

来25期まであと2ヵ月。この先一年を考える時期になった。各チームと「1年先どうするか」を話しているが、「足元の改善」と考え方が一緒くたになっている人もいる。整理したい。

「足元の改善」は日々の『KPI』から考えるが、その延長で一年を考えるのは無理がある。KPI施策は細部の微調整が主で、結果を出すまでのスパンは3ヵ月が限度だろう。1年掛りでは状況が変わり過ぎだ。また、KPIが現すのはユーザー行動の一部だけで、生活や社会のトレンドは含んでいない。「一年先」を考えるには、視野を広げた発想、現状と切り離して魅力を再構築しようとする意識が不可欠だ。

まだない姿を描くので難しい。具体的な形がパッと頭に浮かぶわけはなく、メンバーと白板に向かってもすぐ行き詰るのでは?基本は、孫氏の兵法にあるように、己を知り、敵を知り、そのうえで可能性を探ること。具体例を三つ挙げる。

「1年先の姿」の考え方、一つは『クロスSWOT』。

SWOTの一枚を埋めることで、現状を整理。次にクロスを入れ、戦略を探していく。

まず、自らの強み弱み、外部環境を機会と脅威に整理。過去にやった人も多いだろうが、ボルの状況も消費トレンドも、ここ3年は様変わりしている。新しい発見ができそうだ。各象限、10、20の状況を出し切ってから5つ位のキーワードにまとめると、十分な広がりと深さが得られる。

キモはこの後の「クロスSWOT」だ。4つの方向があるが、特に次3つが重要。「強みで機会を活かす。弱みを克服し、機会を活かす。強みで脅威を取り除く」 1,2回の会議で見当は付けられる。エクセルやツールを使えば時短でできる。

二つ目は、『20枚カード』。

数年前、全社的に行った。各メンバーが心の底で薄々思っている課題をあぶりだすのに効果があった。

2ラウンドあり、1ラウンド目は「課題」を出す。一人20枚書き切る。一枚、課題一つ。ネタが尽き、後半10枚が苦しいが、無理に絞り出すことに意味がある。書けたら大きなテーブルに持ち寄り、全カードを島にまとめる。みんなの脳内を閲覧して整理するようで面白い。商品作りだけでなく、売り方、組織体制・運営プロセスの島も大切だ。

2ラウンド目は「解決策」で、これも20枚書ききり、持ち寄り、整理。ツールを使えば手っ取り早いが、リアルなカードでやると、重みのコインを置いたり、数十枚をズルッと動かしたり、ワイワイと楽しかった。1時間半で終わる。当時は実際に実行し、7割がた効果が出たと記憶している。

三つめは、『異業種ブレスト』。

発想を飛ばすには異業種や自分の経験からアイデアを探る。ブレストの要領で、否定なし、乗っかりOKでアイデアを数出す。飲食、旅行、洋服、小売り店。日頃消費者として関わる業界でどんな工夫がされているか。記事で読んだ成功・失敗例でもよい。社会人2,3年目ともなれば相当ストックされてるはず。

あとはグルーピングと組み合わせだ。一つ選ぶか、二つ三つぶつけて新しいものを生み出すか。「○○×○○」などベタな言葉を組み合わせる。ワクワクする?ピンとくる?ただし、結果が出せるかが勝負。

以上三つは、基本的なやり方。頭が整理されていれば余計な作業は必要ないが、改めて書き出すと意外に発見があるものだ。各チームで工夫してみて欲しい。

プロデュースは、外の力を賢く活用する

目指す姿が決まったら、外の世界に切り込んでいこう。内にこもりがちなモノづくりと並行し、外の人を積極的に開拓。アプリの内外で施策を組み合わせるがプロデュースだ。

僕も20代で知らない有力者にいきなり連絡、依頼するのを始めた。自分の世界が広がり、仕事のレベルも上がった。当たって砕けろ。面白いイメージがあれば、意外と話は進んでいく。