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コンテンツ業界の方々を対象とした交流イベントを初開催!「ヒットクリエイトMeeting! Vol.1 心を動かすストーリー作りのメソッド」アフターレポート

◆長期でキャラクターが煮詰まったら、成長前の未熟なキャラに戻す

長島:「ごちそうさん」のような長期連続ドラマでは、人物の魅力を伝えるシーンをどのように設計されているのでしょうか?

森下:連続ドラマは最初から人間が出来上がった人が主人公なことは半分くらいなのでは?半分の主人公は成長型です。成長して行くなら最初は欠点があるほうが書きやすいですし、共感を呼ぶため人気が出ます。ただ、キャラクターが経験を積んで成長するとだんだん丸くなって、良い人――まぁ、普通の人になってしまいます。そういう時に行き詰まってストーリーがつまらなくなったら、キャラクターを最初の成長前の状態に戻します。視聴者の方も作中のキャラクターたちも忘れていたけれど、最初からこういう(未熟な)人だった、と振り返ってからもう一度話を進めて行きます。
一方で、成長しなくてもキャラクターが動かなくなってしまう時もあります。そういう時は私の師匠の湯川和彦さんから言われた「煮詰まってどうしようなくなったら、このキャラクターが絶対にやらないようなことをやらせてみなさい」という言葉を思い出します。
それによってお話が一気に動いたりすることもあるので、煮詰まったらぜひ使ってみてください。
キャラブレを恐れないで、キャラブレした部分も厚みだと思わせるようなくらいでも許されるのではないかと思います。

◆伏線は2タイプある。初めに張るものと、後から振り返って回収するもの

長島:「義母と娘のブルース」や「おんな城主 直虎」など、ラストの伏線回収の華麗さが度々話題になりますが、壮大な伏線とどんでん返しはどのように思いつくのでしょうか? プロット作りの工夫等があれば教えてください。

森下:伏線には2種類あります。1つ目は張ろうと思って張っているもの。2つ目は執筆を進めて中盤になってきて、前に登場人物のしていたこと、言っていたことなどを振り返って回収するものです。こうすると、結果的に伏線を回収することが出来ます。私はどちらかというと、後者が多いですね。
伏線を張るのには技術が必要です。自分ですごく巧妙に出来たと思っていても視聴者の方に先に読まれてしまうこともあります。それよりも振り返ると結構いろいろなネタが落ちている。自分で読み返して拾ってくることが多いです。

◆作り手の強い想いを伝えあってこそ、良い作品が生まれる

長島:ボルテージのシナリオディレクターの中にはシナリオライターさんへの適切な指示の伝え方に悩む者も多いのですが、書かれる側として、プロデューサーさんからどのような指示出しがあると助かる、等はありますでしょうか。

森下:書き手のタイプに拠りますね。私はリアクションタイプの人間なので、相手の想いが強い方が良い。とにかくこれを伝えたいんだ、これがやりたいんだというものをもらってやりたい。それで出したものが「伝わってない」って言われるのは全然OKです。逆にアドバイスをもらえるだろうと思って見せた時に何も言われなくて「凄い良いですね」って言われると不安になります。伝わってるのかなって。想いの強い指示者だったら「絶対わからないじゃん」とかなるんですよ。それは腹の立つ嫌な作業なんですけど、それを重ねて行くことで確実に幹が太くなるというか、ぶれない方向性を得ていけるんです。

◆日々の生活で気になったキーワードをメモして漬け込んでおく

:日々の生活の中で脚本家として心掛けていることや気を付けていることはありますか?

森下:インプットはあちこちでします。面白い記事があったらプロデューサーに共有しますし、ドキュメント作品などもキャラクターの宝庫なので見た方が良いです。漬け込んでおくネタとしては、キーワードみたいなものをメモしています。例えば、「とんぼを切る」という言葉。歌舞伎の名もない役者さんのする宙返りのことなんですけど、とんぼをたくさん切って体を壊して引退する人もいるんです。引退後の保証もなく、それでもひたすらとんぼを切り続けて舞台を去っていく人がいるという話を聞いた時に、このキーワードだけでお話が出来るんじゃないか、と思いました。
あとは「どて山」って知っていますか? 鉱山だったところを閉山したあと、残っていた鉱物が発熱してブスブスと音を立て続けている山のことです。山火事や火山ではないのですが、人知れず熱くなり続けている。なんかそういう「どて山」みたいな人、身近にいませんか? いつまでも胸に熱を秘め続けているような人。あだ名などで使えると思っています。

:現在の時代やテーマを意識してらっしゃると思うのですが、「時代」についてはどう捉えていますか?

森下:凄く窮屈になっているように感じます。発言がしにくいですよね。真面目な話をするにはちょっと怖いですね。

:そうですよね。それは作品にも反映されますか?

森下:作品については、嫌われないようにすることを考えてしまいますね。キャラクターとかキャラクターの言動とか。でもそんなわかりやすく好かれるためだけに生まれてきたようなキャラクターだらけの作品のどこに存在意義があるんだろうと思うところも。人間は多面体でありあらゆる局面で変化をする、そういうことを伝えるのがドラマが現実社会に還流できる価値ではないのかとも思うので……。

:ボルテージの作品は「イケメン」が一つのキーワードなのですが、森下さんの作品でイケメンはずばり誰でしょうか?

森下:不憫キャラが大好きなので、「白夜行」の亮司や、「おんな城主 直虎」の小野但馬守政次など、世の中的には悪人である人物がヒロインのために命を散らすっていう構図が好きですね。リアルで好きになったり、憧れたりするのは「おんな城主 直虎」の龍雲丸のような明るいキャラクターですね。

◆まずは、キャラクターと向き合って自分自身が楽しむこと

:最後はお集まり頂いた脚本家、シナリオライターの皆さんにメッセージをお願いします。

森下:キャラクターを作りだしたり、キャラクターのお話を作ったり、基本的には楽しい時間の多い仕事だと思います。ほかにも、嫌いなキャラクターでも好きになれたりとか。そういう色々な楽しい瞬間があると思うんですけど、なんせキャラクターって勝手に動き出したりはしてくれなくて、自分が作っていかないとなかなか進まない。だから大変な時もありますよね。
しかしそこで話を無理に進めていくよりも、まずはキャラクターを楽しむことを優先すると、また楽しい時間を過ごせるのではないかと思います。私も締め切りまでになんとか形にしなくては、と書き進めるのですが、その時にキャラクターのことを考えずにとりあえず動かしている時って、楽しくないです。なので、その時は締め切りや決まりごとはまず置いておいて、キャラクターを楽しんでみようとやり直したら、すごく楽しくなるのではないでしょうか。

長島:本日は、大変貴重なお話しありがとうございました!

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