特集

男が創る! 第2回:時代を切り拓くプロデューサーの仕事論


時代を経ても変わらないプロデューサーの熱意
コンテンツ業界に新風を吹き込むプロデューサーたちの挑戦
北島
2003年入社。取締役副社長/シニアプロデューサー
望月
2009年入社。プロデューサー
金子
2010年入社。プロデューサー/マーケティングプランナー

男性ならではの才能を発揮し、新領域を開拓する

北島:金子くんも望月くんも、ボルテージのプロデューサーとして様々な女性向け恋愛ドラマアプリのタイトルを担当してきているけど、そのなかで「これは男性ならではの仕事だな」と思ったことはある?ま、金子くんはアレがあると思うけど……。

金子:ニコ生や東京ゲームショーへの出演ですよね。プロデューサーとしてゲームの内容を紹介する仕事。『天下統一恋の乱 Love Ballad』で初めてニコ生に出たときネガティブな反応がなかったので、そのあと何度も出演していますが。本当はいつも緊張しているんですよ。誰か代わってくれたらいいのに。

プロデューサー/マーケティングプランナー 金子

望月:僕は今後も金子くんが出るべきだと思いますよ!「恋乱の中の人」として若い女性に好評ですから。

北島:金子くんはクール系プロデューサー代表だからね。でも優しい一面もあって、社内に女性ファンが多い。一方望月くんは、情熱的なプロデューサー代表。常に明るくて、活気のあるチームをつくりあげている。

望月:僕は声が大きいだけですけど(笑)でもチームをまとめるときは常に全体を見るように気をつけています。鳥のように俯瞰して見ると、企画を客観的に捉えられるんですよ。企画会議で方向性が変わってしまいそうなときは「ちょっと行き過ぎかもしれないね」「本当にそれで合ってる?」と声をかけて軌道修正したりしています。あとは、攻略対象である男性キャラクターの気持ちを代弁することもありますね。(笑)

北島:ゲーム好きな社員同士でアイデアを膨らませていくと、ときには細部にこだわりすぎてしまうこともある。そういうとき冷静な判断で違う視点を提示するのは重要な役目だと思うよ。二人とも、プロデューサーとして社員の潜在意識の中にあるアイデアを上手に引き出しているね。

金子:自覚はありませんが、恰好よく言うとそうなのかもしれません。今は全体を統括している北島さんも、以前は僕たちと同じようにプロデューサーとしてコンテンツ制作に携わっていたんですよね。

取締役副社長/シニアプロデューサー 北島(左)
プロデューサー 望月(右)

北島:携わってはいたけれど、僕が入社した15年前はまだフィーチャーフォンが主流だった。社員も少なかったから、最初はエンジニアと2人で組んでいたよ。初めて手掛けたのは占いのコンテンツ。男性向けの商品を作ろうと思って入社したら、突然女性向けのものを任された。ボルテージに転職する前は映像制作会社で自動車のプロモーションビデオを作っていたから、女性向けコンテンツを作るのは本当に苦労したよ。

望月:そんな過去があったんですか。そういえば以前、車が好きって聞いた気が。車占いを作ったらよかったのに!(笑)

北島:だから、女性向けのものを任されたんだって!(笑)最初は女性の好みもわからないし、占いの知識も全くなかった。でも女性誌の巻末を見て占い師を探し、飛び込み営業のように電話をかけて大御所の占い師が協力してくれることになったんだ。公開前は、前夜の夜中3時になってもバグが発生していて冷や汗をかいたなぁ。大御所の占い師もバグ修正に付き合ってくださっちゃったりして。

金子:それはヤバい。絶望的ですね……。

北島:でもそのとき、チーム一丸となって一つのコンテンツを作り上げる、モノ作りの醍醐味を味わえた。自分が動かなければ前に進めないゼロからのスタートだったからこそ、ボルテージの一員としてコンテンツを生み出すおもしろさを実感できたんだ。

ボルテージの歴史を創った人気作品、それぞれの制作秘話

金子:北島さんは占いやデコメールなどを担当した後、ボルテージ初の恋ゲーム(現:恋愛ドラマアプリ)『恋人はNo.1ホスト』を担当されていますよね。今だから言える制作秘話を、ぜひ教えてください。

北島:今でこそドラマアプリはボルテージの主軸だけど、実は当時、ゲーム系のコンテンツを作る話は全くなかった。でも一人の女性社員が自分の好きなゲームを元にした企画を出してきたんだ。ちょうどその頃、僕も当時流行していたホストとコンテンツを連動させられないかと考えていた。本物のホストクラブと提携するのはリスクが高い。でもストーリー性のあるゲームにすれば、イラスト化されたホストでユーザーが遊べる。

取締役副社長/シニアプロデューサー 北島

望月:それで『恋人はNo.1ホスト』が生まれたんですね!ゲームはゲームでも、ストーリー性を持たせればボルテージの得意分野になる。そう考えた北島さんのプレゼンが良かったから企画が実現し、大ヒットコンテンツになったんですね。

北島:とはいえ、初めての試みだったからバグが多くて大変だったよ。1日1話っていう制限がいつの間にか外れていて、知り合いから「おもしろくて1日で全部読んじゃった」って言われたときなんてもう……(笑)

金子:でも、ゲームで遊んだ後にホストから「今日はありがとう」ってメールが届く新しい試みは今までにないほどの反響があったと聞きましたよ。増加した会員の人数が尋常ではなかったとか。

望月:僕はちょうどその後に入社したんですが、学生時代に漫画化された作品を書店で見かけて購入しました。ゲームにとどまらず多方面へ展開する仕組みは、そのころ確立されたんですね。ところで、金子くんがプロデューサーとして携わっている『王子様のプロポーズ Eternal Kiss』はどんな戦略で進めているんですか?

金子:皆さんご存知の通り、この作品はロングセラーの人気アプリです。既存のユーザーに楽しんでいただけるよう随時更新していますが、それだけに終始するとシュリンクしてしまう。だからボイスの追加や表現のリッチ化など、新規ユーザーを開拓するための施策も積極的に行っています。

北島:既存ユーザーと新規ユーザーと2方向へのアプローチが必要な分、一筋縄ではいかないか。プロデューサーにとってやりがいのある仕事だね。

金子:そうですね。一つのコンテンツで既存・新規ユーザーともに定着してもらうのは難しいところですが、新しい価値を提供していくなかで学ぶところは多いと感じています。ちなみに望月さんは、2018年2月に配信開始した『魔界王子と魅惑のナイトメア』の立ち上げからプロデューサーとして携わっていますよね。新規タイトルを生み出す際の裏話も聞かせてください。

望月:あの作品は、自分にとって初めて立ち上げから関わる作品だったんですよ。特に苦労した点は2つ。1つ目はキャラクター原案者の起用です。既存の作品とはターゲットが違うため今までとは世界観の異なるイラストを使用しましたが、ハイレベルな原案のクオリティの担保に四苦八苦しました。

北島:でもその苦労が功を奏してユーザー層は確実に広がっている。望月くんが先陣を切って新施策に挑戦したことで、社内には新たなフローが確立されたよ。

望月:そう、もう1つの苦労がまさにフローの確立だったんです。後で詳しく話しますが、『魔界』のプロデューサーになる前、僕はサンフランシスコスタジオにいました。そこで得た学びもあり、フローをよりよいものに変えられないかと考えて『魔界』で新フローに挑戦しました。

金子:でも、慣れ親しんだフローから脱するのは簡単なことではありませんよね。望月さん自身も、チームのみんなも。

望月:人間は新しいものに抵抗を示す生き物ですからね。だからいつも「このフローを導入すればこんなメリットがありますよ!」と先に利点を明示していました。同意を得てフローを変えた結果失敗することもありましたが、周りが支えてくれて。一番悩んでいた時期には、部下が机の上に松岡修造さんのカレンダーを置いてくれたんですよ。しかも2個も。「これ置いたの誰だよ~!」と思わず突っ込んでしまいましたが、変化を楽しむ前向きな気持ちに切り替えることができました。

プロデューサーとして “複数の視点”を持つ重要性。

北島:望月くんと同様に金子くんも部署を異動しているけど、やっぱり部署ごとに大きな違いは感じる?

金子:何よりも雰囲気が違いますね。僕は入社してすぐアプリ間の導客を担当するチームに配属され、その後1年半でコンテンツを制作する部隊に異動、昨年からマーケティングのチームリーダーも兼任しているんですが、どの部署もそれぞれ仕事内容に合った組織づくりがなされています。

北島:だからこそ金子くんや望月くんのように様々な部署を経験している人が新境地に立ったとき、化学反応を起こせるのかもしれないね。

金子:どの部署も、仕事に対する熱量は同じですからね。今のマーケティングのチームもまだまだやることはありますね。制作で培った良い仕事の仕方を持っていったり、その逆をしたり、お互いの相乗効果を狙って、まだまだ組織で改善できるところがあるので、そこに取り組んでいるのが面白いですね。

望月:おもしろいストーリーを提供するという方針も同じだと思います。技術の進歩に合わせて様々なメディアが登場し、ボルテージのコンテンツも形を変えていきました。でも、ユーザーに魅力的なコンテンツを届けるという軸はぶれない。サンフランシスコも同じでした。

北島:アプリはアメリカ人ユーザーの趣味趣向に合わせているけれど、社員が目指す方向は同じか。逆に、日本との違いを感じる局面はあった?

望月:会議の回数が少なかったですね。オブラートに包まずはっきり言葉にするから、会議や打合せをしなくても日常会話で方針が決定したり、1時間の会議で複数の課題をスピーディーに解決したり。国民性が違うから、仕事の仕方も変わってくるのかもしれません。……という言い方もアメリカではしなくて「仕事の仕方が変わります」って言いきるんですけどね(笑)

プロデューサー 望月

金子:英語は白黒はっきりつける話し方をする言語ですもんね。日本との違いを日々感じて仕事をしていたからこそ、望月さんは『魔界』でフローの革新ができたんですね。ちなみに北島さんは入社して15年経ちますが、入社当時と比べてどんな変化を感じますか?

北島:何より大きな変化は“規模感”かな。昔は会社の規模が小さかったからチームと言っても2~3人。一人の社員が広範囲にわたって仕事をしていた。現在に比べればユーザー数も少なかったから、社会に影響を及ぼす規模も小さかったよ。でも今は違う。会社が成長した分、社員一人ひとりが担当する領域は部分的になっているけれど、世に出たときのインパクトは大きい。昔は会員が1日に30人増えれば成功だったんだ。

望月:30人!?ケタが違いますね。今は1日に数千人とか数万人というレベルなのに。先輩方が道を切り拓き、ボルテージが成長したということですね。

北島:望月くんや金子くんを始めとするみんなが新たな分野に挑戦して結果を残してきたからこそ、会社の規模が拡大し、世の中に大きな影響を与えるコンテンツを作れるようになったんだよね。規模は大きくなっても、一人でも多くのユーザーが感動できる新しいストーリーを創っていくという原点は、これからも変わらない。コンテンツビジネスに関わっているからこそ、このおもしろさを味わえるんだなと思うね。


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