《対談》時代が求めるコンテンツを作り続ける ボルテージ東奈々子×漫画家ひうらさとる
仕事とライフステージ、その関係性は?コンテンツの背景にある女性としての人生。
自分の時間は早朝!1日のタイムテーブル。
――ヒット作を生み出す職場と、子どもや夫と過ごす家庭。2つの場所でどのような1日を送っているのか、スケジュールを教えてください。
ひうら:私は完全に朝型です。子どもが生まれる前は深夜まで仕事をしていたんですが、子どもを寝かしつけていると一緒に寝てしまうようになって。子どもを早く寝かせようと焦るのも、いったん寝てから起きて頑張るのも自分には合わなかったので、朝型に変えました。東さんはどうですか?
東:私も朝型です。子どもたちも朝型で、起きてから宿題をやっています。帰宅したあとも仕事が気になりますが、夜は気持ちを切り替えて子どもとリラックスして、なるべく早めに寝るようにしています。ひうらさんが朝型に変えたのは、何かきっかけがあったんですか?

6時半~9時……朝食・家事
9時~18時……仕事
18時~21時……夕食・家事
21時~3時半……睡眠

6時半~8時……家事・子供の送り出し
8時~9時半……自宅仕事&朝食
9時半~19時……仕事
19時~22時……夕食・家事
22時~5時……睡眠
ひうら:漫画家仲間のおかざき真里さんが最初に勧めてくださったんですよ。
東:おかざきさんは博報堂時代の先輩です!一時期、同じ部署で仕事をしていたんですよ。席もすぐ後ろで。ご主人も同僚だったので、ボルテージが創業したての頃、一緒にオフィスに遊びに来てくださったこともありました。今や3人のお母さんでらっしゃいますもんね。
ひうら:そんなつながりがあったんですね!私はおかざきさんと歳が近くて同じジャンルの女性誌の作家さんだったこともあり、出産や子育てについてよく話すんです。最初は仕事と子育ての両立が上手くできませんでしたが、おかざきさんのアドバイスのおかげで早朝に自分の時間を作れるようになりました。夜は仕事が終わったらビールを飲んで切り替えています(笑)

東:切り替えは必要ですよね!私は帰宅したら、まずキッチンで焼酎かウイスキーを飲みながら夕食を作り始めます。脳みそを仕事から解放して家事モードに切り替えないと、夕食を作る気力が出てこない…(笑)そういえば、3年間住んでいたサンフランシスコの人たちは「夜はさっさとプライベートタイムに切り替える」というのが当たり前でとても参考になりました。
ひうら:アメリカでは仕事に対する感覚が日本とは違いそうですね。スケジュールの組み立てだけでなく、仕事の進め方などでも影響を受けましたか?
東:そうですね。「今日、午後1時から2時間会議をします」と伝えると、日本では働く時間を少し延ばしますよね。アメリカでは「じゃあ今日は2時間分仕事ができなくなるので明日に回します」と言うんです。組織を重視する日本と、個人を重視するアメリカ。根本的な考え方の違いもありますが、「仕事時間は有限なんだ」と実感しました。ひうらさんの働き方も、どちらかというとアメリカっぽいのでは?
ひうら:漫画家は個人事業なので、働き方は日本の組織とは違うかもしれませんね。でも私はいま東京を離れて兵庫県の城崎に住んでいるので、プライベートは日本らしい生活ですよ。毎日温泉に入っているんです。
東:毎日!!城崎は自然が多くて、人間性豊かに過ごせそうですね。東京から離れて、アシスタントさんや編集さんとの仕事のやりとり、旦那さんのお仕事はどうしているんですか?
ひうら:今はデジタルで漫画を描いているので、データをまとめて送ったり、スカイプで打合せをしたりしています。東日本大震災のあと、子どものオムツや水が足りなくてしばらく夫の実家で暮らし、そのあと夏の計画停電で東京ではクーラーが使えなさそうだったので、子育てのために移住しました。今は夫も城崎で仕事をしているんですよ。家族そろってスローライフを楽しんでいます。
東:ボルテージも昨年導入したテレワークが普及してきたので、リモートでの仕事のやりとりが増えています。
- 東 奈々子
- 取締役副会長・ファウンダー
- Voltage Entertainment USA, Inc. COO
- 津田塾大学卒業後、総合職として博報堂に入社。2000年パートナー津谷の起業に伴いボルテージへ参画、副社長に。ボルテージ東証一部上場を経て、13年から米国進出のため3人の子どもとともにサンフランシスコへ。16年3月に帰国。
- ひうらさとる
- 漫画家
- 大阪府出身。1984年に『なかよし』でデビュー。主な作品に『ホタルノヒカリ』『メゾンde長屋さん』『ヒゲの妊婦(43)』『女子高生チヨ(64)』など。現在、月刊『Kiss』(講談社)で『ホタルノヒカリBaby』を連載中。一児の母。