特集

男が創る! 第1回:新たな胸キュンビジネスへの挑戦

現状に満足しない、
コンテンツビジネスへの熱い想い。

配信当日、ランキング高位を獲得。「狙い通り!」と心の中で拳を握った。
三谷
アニドルカラーズ 開発プロジェクトマネージャー
加藤
アニドルカラーズ プロデューサー マーケティング本部 本部長
下川
ビジネスディベロップメントプロデューサー 経営企画本部 アニメ・IP事業部 株式会社ボルピクチャーズ 取締役

さらなる躍進を目指し、未踏のマーケットに挑む。

加藤 2017年9月、ボルテージにとって新領域への挑戦となったアニマルアイドル育成ゲーム「アニドルカラーズ(アニドル)」の配信が開始されました。

三谷 これまで、新商品を開発する場合、企画制作部署が企画を立てて会社の承認を受けた後、システムやデザインなどのスタッフが参加するプロジェクトを立ち上げる。けれど今回は、開発の流れも従来にないものでしたね。

下川 「アニドル」は2016年に始まった社内公募制度で生まれたんですよね。これまでアプローチしていなかったターゲットに向けたもので、IP展開*1することも想定した企画を、職種・キャリアを問わず広く募った。

加藤 この年、全社の事業戦略を再策定してターゲット戦略も見直した。中核となる日本語女性向けアプリにおいて、今、自分たちの商品はどんな人たちに楽しまれているか、またその一方でどんな市場が伸びているか分析したところ、「カジュアル」と「コア」という2つの層が見えてきたね。

下川 「カジュアル」は好きなコンテンツをライトに楽しむ層、「コア」は没頭・熱狂する層。中間に「カジュアルコア」層もある。市場規模はそれぞれ約100億円、500億円、400億円。現在、コア層向け市場が特に伸びています。

アニドルカラーズ プロデューサー
マーケティング本部 本部長 加藤

加藤 従来の主なターゲットはカジュアル層で、コア層にはコンテンツを提供してこなかった。しかし市場が急激に成長しているコア層にも、今後は積極的にアプローチしていこうと。そういう経緯で、コア層向けコンテンツの記念すべき第1作として選ばれたのがアニドル!!

三谷 公募の選定も担当して、僕は早い段階からこの商品に携わりました。「アニドル」は、コア層向けコンテンツの中でも人気のある“アイドル”という要素を盛り込んでいて、その一方で“動物”という要素もあって他コンテンツとの差別化もできる。「これはいける!」と可能性を感じたけど・・・

加藤 そう!とは言えボルテージにとっては新たな試みでしたから、「チャレンジ案件」という位置づけで、始めは小規模な体制でのスタートだったからね。

下川 ところが開発を外部にリリースしたところ、反響が大きくて。それで、勝負できるものとしてきっちりつくり込んで、コア市場に打って出ようと。

加藤 戦略を立て直し、開発費を大幅に追加して制作体制も強化しました。

アニドルカラーズ 開発プロジェクトマネージャー 三谷

三谷 ストーリーをメインに楽しんでいただくコンテンツという部分は変わらないので、これまでカジュアル層向けにつくってきたコンテンツとシステム面では共通するものもある。一方で、コア層向けとして、従来以上にスムーズに楽しめるよう機能面を充実させたり、CV*2の使い方など演出面も洗練させていかなければ、と考えていました。

下川 新領域のユーザーを獲得するためにはコンテンツをどう浸透させていくかがカギだと思いました。まだ誰も見たことのない、新しいコンテンツを楽しんでもらうにはどうしたらいいか。けれど独り歩きさせるわけにはいかないので、その辺りのコントロールが腕の見せ所だなと。

投下資本を回収できるか、ビジネス視点で考える。

加藤 開発方針を転換したのが2017年3月。配信スタートを「2017年夏」とリリースしたけれど、状況を考えるとかなりタイトなスケジュールだったね。

三谷 課題が山積みで、相当効率よく進めないと間に合わない。システムに搭載する機能などについて開発側からも提案できるようにするといった仕組みづくりでスタッフのモチベーションを上げ、スピード化を図りました。

加藤 スタッフは増やしたけれど、一方であまり規模を大きくし過ぎないようバランスに気を配っていました。コンテンツ開発はあくまでビジネス。投資分を回収できなければ意味がない。

下川 開発のただ中での集客にも苦心しました。本来ならコンテンツの魅力を存分に伝えたいところですが、素材は限られているし配信までに期間もあるので、小出しにしてユーザーの関心を引き続けなければならない。しかし情報をあまり抑えるとコンテンツが盛り上がっていないように見えてしまう。そのさじ加減が難しかった。

加藤 でも、ティザーサイト*3などで配信前に認知度を高めてからコンテンツをローンチさせることもほぼ初めて。このタイミングで情報を提供するとこれだけの事前登録を得られるなど、多くのノウハウが蓄積できたよ。

ビジネスディベロップメントプロデューサー
経営企画本部 アニメ・IP事業部
株式会社ボルピクチャーズ 取締役 下川

下川 徐々にユーザーのモチベーションを高めるようロードマップをつくって。迎えた配信当日の反響は凄かった。

三谷 各アプリストアでのランキングも初動から高くて、狙い通りだなと。

加藤 「面白い」「キャラクターがいい」とSNSでも話題になって、作品としての評価は十分得られたかなと。今後のテーマは収益。お金を払ってもっとこのコンテンツを楽しみたいと思わせられるか。だから、さらに手を入れて、より力のあるものにしたいね。

下川 グッズの売行きも好調で、かなりポテンシャルの高い商品に仕上がっていると考えています。現状を踏まえて今後の戦略を改めて立て、IP面でもしっかりと収益を上げるコンテンツとして育てていきたいですね。

三谷 社内公募で出てきた企画を練り上げてここまでのものにできたことは感慨深い。目標通りコア層の獲得ができたことにも達成感があるし。

加藤 システム開発とIP展開のために2人に参加してもらった。モノではなくヒトをプロデュースするのが自分の役割。その人の個性を把握してそれらが活きるポジションに配置していく。それが奏功して今回のようにいいコンテンツが生まれたとき、みんな仕事の醍醐味を感じたんじゃないかな。

三谷 自分がつくったものを多くの人に楽しんでもらってお金を払っていただく。それがこの仕事を始めてからの一貫したやりがいだったのですが、今回、新市場で評価されるという新たな喜びも味わいました。

下川 ローンチからひと息ついた現在の目標は、アニメ化や舞台化を通じて、「アニドル」をさらに多くの人に楽しんでもらうこと。そこから得た経験を他コンテンツのIP展開にも活かしていきたいですね。

三谷 当社はコア市場ではチャレンジャー。魅力あるコンテンツを提供する会社として定着できるよう、システム面でもがんばっていきたい!

加藤 ユーザーに「もっともっと楽しもう!」と感じてもらえる商品を世に出していきたい。「アニドル」を皮切りに大ヒットを連発できれば、コンテンツメーカー冥利に尽きますね(笑)。

*1 知的財産(IP)であるコンテンツを、グッズやアニメーションなどに多面展開させていくこと。
*2 キャラクターボイスのこと。
*3 商品開発中に外部に向けて告知を行っていくWebサイトのこと。ティザーは「焦らす」を意味する。


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