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《対談》ボルテージ社員×漫画家ひうらさとる 共感される物語にはヒミツがあった!クリエイターが知っておきたい4つの極意。

時代に合わせた禁断ネタの作り方とは?

――続いては、ストーリーについて。読者の好みが分かれる禁断ネタを描くときに気を付けていることを教えてください。

ひうら:最近、世間では不倫ネタがちょっとしたブームになっていますよね。そういうネタを描くときは、少しだけファンタジーの要素を入れています。どうしても恋をしないといけない状況に追い込まれた、みたいな。例えば密室に閉じ込められてしまって、誰かと恋をしないと出られないとか。

▲ボルテージがチャレンジした禁断ネタのストーリー「今夜アナタと眠りたい」

遠藤:その脱出ゲーム、女性が好きそう!

ひうら:何かフックがないと、入り込めないと思うんです。だから「私はそんな気なかったのに」っていう流れがいいかな。

堀井:大人の女性の間では不倫ネタがブームですが、一方で若い女性の専業主婦志向が高まっているのも気になります。

遠藤:昔はバリキャリのヒロインの対極に、仕事に全力投球していないやる気の欠けた後輩キャラを置いていたのですが、そういうキャラを悪者にできない空気があります。今は仕事とプライベートを分けて考えてそれぞれ楽しむ、っていう人も増えてきましたよね。私も、若い世代の考え方がシフトしていると思います。

ひうら: 時代が変わったと感じたときは深堀するといいですよ。インターネットで調べてみたり、取材したり、テレビを見たり、友達と話したり。私も「これは面白い」「描けそう」って興味が湧いたらどんどん堀り下げています。

キュンとする印象的な構図作り。

――登場人物やストーリーの考案に続いて大切なのが、構図です。ひうらさんは漫画を描く際、どのようにコマ割りを考えていますか?

ひうら:読者が飽きないように、っていうのが第一ですね。

堀井:恋愛ドラマアプリではスマホの中でユーザーの目線をそこまで動かせないので、主人公の女性キャラクターの目線に合わせた絵が多くなってしまうんです。

ひうら: ちょうど目線の高さに相手の顔がある構図ですよね。漫画の場合、読者が意外にキュンとするのは、アップではなく引きのシーンなんですよ。例えば彼が主人公の女の子の家の前で待っているシーンなら、遠くに家があって、その前にぽつんと立ってる全身の絵とか。

堀井:それ、印象的だったので覚えています!冬のシーンだったので、マフラーを巻いたあったかそうな姿で。

ひうら:そうだったんですか!ありがとうございます。そのあと寒くて手をつなぐなら、手だけアップにするのもいいですよね。

遠藤:体の部分的なアップも効果的なんですね!漫画界で、最近流行っている構図はありますか?

ひうら:最近は一つのコマに情報がぎっしり入っているほうが好まれていると思います。オシャレな漫画はその傾向にあるかと。

堀井:確かに!読者の方々は普段からスマホの自撮り写真をよく見ていますもんね。ボルテージの若手社員が考える構図は、広がりのある構図よりも、アップのほうが親しみを感じるのかもしれません。

遠藤:ひうらさんがゲームを作るとしたら、どんな構図にチャレンジしてみたいですか?

ひうら:上からのぞき込んでくるとか、下から上目遣いで見上げるとか、そういうのはどうでしょうか?キャラクターによって背の高さが違うので。漫画とは違う、ゲームにしかできない構図、ぜひチャレンジしてみてください!

 

 

ひうらさとる
漫画家
大阪府出身。1984年に『なかよし』でデビュー。主な作品に『ホタルノヒカリ』『メゾンde長屋さん』『ヒゲの妊婦(43)』『女子高生チヨ(64)』など。現在、月刊『Kiss』(講談社)で『ホタルノヒカリBaby』を連載中。一児の母。

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