《対談》漫画家ひうらさとる×ボルテージ東奈々子 『ホタルノヒカリ』がオトナ女子に響いた理由。ヒットの裏側にある作者の苦労とは?
新境地は、一歩先へ進んだコンテンツ。
――時代の流れと今までの経験を踏まえて、今後はどのような作品を生み出していきたいと考えていますか?
東:ボルテージは今までどちらかというとカジュアル層の女性に向けたコンテンツを作っていたのですが、これからは『ホタルノヒカリSP』の主人公ヒカリのように、夢中になれる趣味を持つコアなオトナ女子に楽しんでもらえる作品にもチャレンジしたいと思っています。あの作品では、アイドルが生活の中心であるヒカリがとてもリアルに描かれていましたが、一体どうやって取材をしたんですか?

ひうら: 私自身、40歳を過ぎてからジャニーズにはまりKAT-TUNを追いかけていたんです。なので自分の経験も入っていますよ。それをもとに、宝塚歌劇とか2.5次元俳優とか、いろんなオタクを取材したんです。そうしたら、彼女たちに共通するものが見えてきて。
東:どんな共通点があったんですか?
ひうら:真面目に調べるタイプの子たちがいることがわかったんです。私は蛍みたいに大雑把な性格なので、はまり始めは友達にアイドルの情報を教えてもらったり、コンサートのチケットをとってもらったりしていたんですが、自分で調べて行動して、どこまでも深堀していく子がいた。そこに魅力を感じて主人公にしたんです。
東:ご自身の経験と多角的な目で見た取材がもとになっているからこそ、あのリアリティが生まれたんですね。ちなみに、今作品を書くとしたら、蛍、ヒカリと来て、次はどんな主人公にします?
ひうら:今なら…「仕訳女子」じゃないでしょうか。恋愛はこれだけ、仕事はこれだけ、趣味はこれだけって効率的にスパスパ考えて行動するような。
東:なるほど。面白いコメディになりそうですね。デートはここまでって(笑)。
ひうら:おかげさまで『ホタルノヒカリSP』は無事に完結したので、私もこれから新しい連載を始めるんですよ。『ホタルノヒカリ』の主人公、雨宮蛍と高野部長の子育てを描いた『ホタルノヒカリBaby』です。私の実体験と取材で聞いた話を合わせて描いていくので、こちらも楽しみにしていてくださいね!

取材・文/華井由利奈
第2回に続く
- ひうらさとる
- 漫画家
- 大阪府出身。1984年に『なかよし』でデビュー。主な作品に『ホタルノヒカリ』『メゾンde長屋さん』『ヒゲの妊婦(43)』『女子高生チヨ(64)』など。現在、月刊『Kiss』(講談社)で『ホタルノヒカリBaby』を連載中。一児の母。
- 東 奈々子
- 取締役副会長・ファウンダー
- Voltage Entertainment USA, Inc. COO
- 1969年東京生。津田塾大学学芸学部卒業後、広告代理店に入社。2000年パートナー津谷の起業に伴いボルテージへ参画、副社長に。ボルテージ東証一部上場を経て、13年から米国進出のため、3人の子どもと共にサンフランシスコへ。16年3月に帰国。