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「待った?」
「ううん」
「マコ、髪切ったんだ」
「うん、ケイスケもちょっと痩せた?」
「そうかな……」
「雨、ひどくなってきたね。濡れてる」
「ん……大丈夫、わざわざ悪かったな、取りにこさせたりして」
「よかったのに。そんなたいした高い本じゃないし」
「でも、借りっぱなしはいやだから、俺」
「ふふ……懐かしい……この本」
「珍しいよね、『ハワイの歴史』っていうのも。観光ガイドならいっぱいあるけどさ」
「だってあの頃、ケイスケったらすぐ五月病にかかって……」
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「すぐ南の島に行くって言い張ったんだよな」
「くくくッ……モラトリアムだったよね」
「今もあんまり変わりないけどさ」
「毎年毎年、5月になると『会社やめたい』って言ってンの?」
「……まあね……」
「南の島に行ってぱーっと遊びたいって?」
「……ハワイのビーチで酒飲んで、日がなゴロゴロ酒飲んでたいじゃん」
「読みたい本、山ほど持っていって?」
「そうそう、なーんにもしないでひたすらビーチで酒飲んで海見てるの……いーよなあ」
「……いーよねえ、んでカメハメハ大王に会えたりして」
「会えるさ、きっと」
「それ……今の彼女にも言うの?」
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「……まさか」
「しっかり者なんだぁ……ケイスケに愚痴言わせないなんて。もしかして結婚?」
「まあね……」
「だから返しにきたのかこの本」
「それだけじゃないけど……」
「そーじゃないけど何?」
「……マコの気持借りっぱなしだったから、本と一緒に気持も返しにきた」
「……ねえ、一つお願い」
「ん?」
「新婚旅行、ハワイにだけは行かないで」
作 三好 美和
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